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2019/11/7

ラジオ講座「学びの時間」 11月1日〜11月22日

〈テーマ〉 地質学から探る東広島周辺の豪雨災害

 広島大学OBの教職員らでつくる「広大マスターズ」の会員を講師に迎えた週1回のラジオ講座を放送します。テーマは生活、地域社会などで、全4回。11月1日〜22日の内容を少しだけ紹介します。

今回の講師 沖村雄二さん

おきむら・ゆうじ 堆積岩岩石学を基礎に地球の歴史を研究。堆積学は火成岩や変成岩の砕屑物であり地域地質学の情報源。広島大学名誉教授・理学博士・日本地質学会名誉会員・日本古生物学会名誉会員・広島大学総合博物館客員研究員・仙石庭園(社)日本石庭文化保存協会代表理事

 豪雨災害は、気象、地形、地質、人工築造物などの要因が絡み合って起こる複合災害≠ナす。ところが平成30年の豪雨災害について、広島県はその件数も量も最大だったのですが、報道機関から伝わってくる情報のほとんどが災害の様子であって、土石流を中心とする災害の原因を究明するための地形・地質学から見た情報の提供が乏しかったことは否めません。

土石流が起こった地域の地形と地質

 平成30年の豪雨に見舞われた広島市八木地区、可部地区、呉市北部、熊野町、東広島市などの地形は、全て大きな河川が運んだ堆積物からなる低平地に続く緩傾斜地域と急傾斜山地と区分できます。緩傾斜地のほとんどは、上流域の支川が運んだ土石流の堆積物からなる扇状地地形を形成しています。

 しかも、山地の高所部には流紋岩(りゅうもんがん)類、あるいは付加体と呼ばれる堆積岩(たいせきがん)類(冠岩(かむりいわ))、そして低地部には広島型花こう岩が発達する2階建て構造です。山地の稜線(りょうせん)部が平たんな地形であることも災害の誘因になった可能性があります。

花こう岩は風化作用に弱い

 花こう岩を構成している鉱物、とくに角閃石(かくせんせき)雲母(うんも)長石(ちょうせき)類が風化作用の影響で粘土鉱物化して真砂土(まさど)≠ノ変化、しかも、広島県の場合、20mを超す深層風化の真砂≠ノなっているところも少なくありません。

 山地部を構成している岩石(流紋岩類・付加体堆積岩)は、花こう岩の貫入によって熱変成作用を受けて変質し、真砂化した花こう岩の冠岩ですから、水に満たされた真砂土の上を動きやすい状態になっていると考えられます。2階建て構造の1階が弱ければ、2階が無事であるはずがありません。

流紋岩は風化作用に強い

 産地の高所部を構成している流紋岩類はケイ酸質で風化作用に強く、土壌化する量が少ないだけでなく、急傾斜(崖)地形を作り、岩塊として稜線部に露出していることがほとんどです。

豪雨、流動する水の力

 外国人、特に大陸と呼ばれる地域から来られた方と話した時、日本の川は滝だと言われたことがあります。そのくらい日本の河川は急勾配です。広島県の場合も例外ではありません。

 土石流の発生する河川の源流域、急勾配であればあるほど、流動する水の速さ=力は大きく、流路の風化物(土砂・小石)を含むとその破壊力は3倍になるとも言われています。水は必ず低いほうに流れますし、土石流の速さが時速20〜40キロmを超すことも珍しくありません。その破壊力の大きさは想像以上です。砂防ダムよりも、土石流の流路を確保して土石流の拡散被害を少なくし、短い距離で本流や海に流出させる方策が検討されるのも、今後の対策を考える一つではないでしょうか。


FM東広島 放送スケジュール

FM東広島(89.7MHz)で沖村先生の講座を放送します。それぞれ、日曜日18時〜、再放送をします。

第1回 11月1日(金)12時〜
広島県内、土石流が起こった地域の地形と地質

●広島県は豪雨災害の起こりやすい地質構成
●下盤の花こう岩:風化作用に弱い岩石
●上盤の流紋岩:風化作用に強い2階建て

第2回 11月8日(金)12時〜
花こう岩は風化作用に弱い

●花こう岩は風化作用で真砂土に
●真砂土は浸食作用で土石流に
●1階が潰れれば2階は崩落

第3回 11月15日(金)12時〜
流紋岩は風化作用に強い

●流紋岩の構成鉱物は、風化作用に強い
●石英が多く、硬質岩で風化土壌になりにくい
●岩塊として山稜部に残留する

第4回 11月22日(金)12時〜
豪雨、流動する水の力

●土石流の破壊力は大きい
●土石流堆積物は扇状地を形成
●土石流は繰り返し起こる―流路の確保を


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