ザ・ウィークリープレスネット

 記事検索

2019/9/5

ラジオ講座「学びの時間」 9月6日〜9月27日

〈テーマ〉 身近な卵の話

 広島大学OBの教職員らでつくる「広大マスターズ」の会員を講師に迎えた週1回のラジオ講座を放送します。テーマは生活、地域社会などで、全4回。9月6日〜27日の内容を少しだけ紹介します。

今回の講師 松田治男さん

まつだ・はるお 免疫学、病原微生物学、抗体工学などが専門の農学博士。広島大学を退官するまでの十数年間はニワトリ抗体の応用研究で多くの大型研究プロジェクトを展開した。広島大学名誉教授、日本たまご研究会会長、東広島市八本松東在住。

 鶏卵は私たちの生活で身近な完全栄養食品。卵を温めるとわずか3週間で全身に羽毛が生え、立派に二本足で歩行できるひよこが誕生する。卵には生命誕生に必要な多くの栄養素がバランスよく含まれており、ヒトにとっても大事な栄養食品となっている。この講座では、身近な卵の話題を提供していく。

卵は完全栄養食品

 日本は世界第3位の卵消費国。国内の卵生産量は年間約250万t(約420億個)もあり、その約50%が家庭で消費されている。

 卵は完全栄養食品で、タンパク質、脂質の他、ビタミンやミネラルも豊富に含まれており、私たちに不足がちな栄養素の補給に適している。タンパク質を例にすると、タンパク質の栄養価は、国際的に必須アミノ酸のバランスを評価するアミノ酸スコアで表され、卵のスコアは100であり良質なタンパク質(アミノ酸スコアが100に近いほど良質)なのだ。

魯山人の卵かけご飯

 魯山人の卵かけご飯というのがある。一般に卵かけご飯を作るとき、お茶わんに温かいご飯を入れ、そこに冷蔵庫から取り出した卵を割り入れ、しょうゆを適量かけ、よくかき混ぜてから食べる。

 美食家でもある魯山人は考えたのだろう。温かいご飯に冷えた卵をかけていいのだろうかと。そこで、卵を両手で軽く握って約30分温めてからご飯にかけることを考え付いた。冷えた卵か温めた卵か、どちらがおいしいか試してみてはいかが。きっと納得するだろう。

卵とコレステロール

 卵はコレステロールが多いからと敬遠する消費者が今でもいる。卵のコレステロール悪玉説は、約50年前に「コレステロールの摂取量は1日300ミリg以下で、卵は1週間に3個まで」という勧告(米国)が発端だった。その後、広範な調査研究(疫学調査、動物実験、ヒト臨床試験など)が進められ、「卵の消費量と心臓病のリスクの関係を示す事実はない」ことが示された。最終的に、2015年の米国の食事ガイドラインから食事性コレステロールの摂取基準値が撤廃された。

卵のさまざまな利活用

 卵は高い栄養価の他、熱凝固性、乳化性、起泡性、風味、色調などの性格から、料理や菓子作りにはかかせない素材である。その他、卵のさまざまな成分が美容や健康にも役立っている。

 卵の中身(卵白、卵黄)を食材などに利用するが、廃棄される卵の殻(卵殻)や卵殻の内側に張り付いている薄い膜(卵殻膜)はそれぞれ重要な素材。卵殻カルシウムはさまざまな食品のカルシウム添加剤として利用され、卵殻膜は美白機能があることから、近年化粧品の原料として利用されている。また、卵白に含まれているリゾチームは溶菌活性があることから最近まで医薬品として風邪薬に活用されてきた。

コレステロールの摂取量についての動き

 卵はコレステロールの含有率が高く身近な食材のため、卵の摂取と疾患リスクの関係が長年調査研究されてきた。2015年の厚生労働省「日本人の食事摂取基準」から摂取基準値が撤廃された。

「日本人の食事摂取基準」

生活習慣病予防を目的とする目標量

2005年版では男性750r未満 女性600r未満
2015年版では撤廃

理由

目標量を算定するための十分な科学的根拠が得られなかったため(米国と同じ対応)


FM東広島 放送スケジュール

FM東広島(89.7MHz)で松田先生の講座を放送します。それぞれ、日曜日18時〜、再放送をします。

第1回 9月6日(金)12時〜
卵は完全栄養食品

●卵の栄養
●栄養強化卵
●あるバイオリニストと卵

第2回 9月13日(金)12時〜
魯山人の卵かけご飯

●TKGって何?
●賞味期限切れの卵は廃棄?
●生卵の安全性
●生卵とゆで卵

第3回 9月20日(金)12時〜
卵とコレステロール

●コレステロール悪玉説
●コレステロールは体に必要
●悪玉コレステロール

第4回 9月27日(金)12時〜
卵のさまざまな利活用

●卵の加工・調理機能
●厚さ0.07ミリの卵殻膜の魅力
●抗菌物質リゾチーム


pagetop