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2019/8/1

広島人が受け継ぐグローバルな発想の源

第三章 広島人はなぜ、グローバルな発想が得意なのか
グローバルな力 いいものはガンガン取り入れて広島の色に染める

岩中祥史「広島の力」(青志社)より

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 ある地に生まれ育った人たちに大きな影響を及ぼすのは、ほかの場所に暮らす人たちとどれほど多くの接点があるかである。

 広島市の場合、それでなくとも、修学旅行で訪れる学校が多い。ただし、小学生・中学生・高校生だから、地元の人たちもそうそう深いコミュニケーションができるわけではない。むしろ、訪れた側がほぼ一方的に、さまざまな「広島」を見聞きすることで、多くのことを吸収して帰っていくというパターンがほとんどだろう。

 広島の場合、宮島(厳島神社)と原爆ドームという、二つの世界遺産があるから、もともと海外から訪れてくる人の数は多かった。

 その外国人観光客が、ここのところ幾何級数的に増えている。私事で恐縮だが、筆者がここ数年、月にほぼ2回のペースで訪れている浅草など、日本人より多いのではないかという印象すら受ける。

 以前は夏休みシーズンなど、期間が限られていたが、いまはもう1年中、いつ行っても大変なにぎわいである。記念撮影のスポットともなると、順番待ちの人が群れを成しており、相当の待ち時間を覚悟する必要があるのではないか。

 当然、受け入れる日本人の側も、それに対応しなくてはならない。土産物屋の店主や店員も、最近は外国人観光客と対等に口をきいているようだ。

 5、6年前はお客の数もそれほどではなく、たどたどしい英語、というかごく片言くらいしかできなかった人力車のドライバーも、いまではもうペラペラ。なかには、中国語と韓国語の両方を操る者まで目にする。必要は発明の母というが、浅草には、若い人から80歳近い後期高齢者まで、年齢・性別を問わず、英語使いがいっぱいいるといった印象だ。それに比べると、かなり以前から外国人がコンスタントに訪れている広島では、むしろそうした変化を感じ取りにくいかもしれない。

 だが、国内からだけでなく、海外から人を迎えることが、その地の人たちの意識や考え方を、さらには生活様式までも大きく変えるきっかけになるのは間違いなさそうである。ただ、広島市民がそれによって強烈な影響を受けたという印象はあまりない。

 だが、鞆は違った。いまは広島県だが、かつては備後という別の国(藩)だったこともある。安芸広島藩のほうは備後に比べ、海外、とくに西欧との接触度合という点では後塵を排していた。

 大崎下島(しもじま)下蒲刈島(しもかまがりじま)も同じように潮待ち、風待ちの港として栄えたものの、そこで接点のあった「外国」といえば朝鮮通信使くらいである。

 江戸時代は鎖国の影響もあって、全国ほとんどの人が井の 中のカワズ¥態に置かれていた。そうした中、外からやってくる人の存在は非常に刺激的に受け止められたはずだ。同じ日本の中でさえそうなのだから、海外となればその刺激の強さは並々ならぬものがある。

 江戸時代、海外に向けて窓を開けていたのは長崎や平戸だけだが、それ以外にも、大坂や堺には海外からの使節や商人がよく姿をあらわしていたし、そうした人たちと接することで受ける刺激はハンパではないだろう。まして、それが海外からの賓客となれば、想像に余りあるものがある。そして、そうした人たちが鞆にもひんぱんに出入りしていたのである。

 その地に代々暮らしていた先祖の血を引く森下博や宮城道雄が、その遺伝子にグローバルな発想、あるいは時代を突き抜ける感覚を胚胎(はいたい)していたとしても不思議ではない。もちろん、それが表に出てくるかどうかは、どんな時代に、またどんな場所で生きるか、どんな人と出会い、どんな仕事にたずさわるか等の条件しだいだろう。そうだとしても、鞆という歴史の長い港町の存在を忘れるわけにはいかない。


岩中祥史(いわなか よしふみ)
 1950年11月26日生まれ。愛知県立明和高校から東京大学文学部に進み、卒業後は出版社に勤務。1984年より出版プロデユーサーとして活動するとともに執筆活動も。地域の風土と人々の気質との関係をテーマに、『名古屋学』『博多学』『札幌学』『鹿児島学』『新 不思議の国の信州人』『新 出身県でわかる人の性格』『名古屋の品格』『城下町の人間学』など著書多数。2011年の上梓した『広島学』はご当地広島の人たちをも驚かせる内容で、ベストセラーになった。


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