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2019/8/1

のみ込む力を高めて誤嚥を予防 

広島国際大 福岡准教授に聞く


福岡達之准教授

 食べ物や飲み物などがうまくのみ込めず、食道を通らないで気管に入ってむせる「誤嚥」(ごえん)は、超高齢社会になった日本で浮上してきた新たな課題だ。放置しておくと命にもかかわる。言語聴覚療法学が専門の広島国際大准教授、福岡達之さん(医学博士)に話を聞きながら、誤嚥の予防などについてまとめた。

老化が誤嚥の原因

 食べ物を、ごっくんとのみ込むことを「嚥下」(えんげ)といい、のみ込めなくなった状態を「嚥下障害」という。嚥下障害になると、口腔内に残った食べ物が細菌と一緒に気管内に入り、誤嚥による肺炎(誤嚥性肺炎)を発症するリスクが高まる。福岡さんによると、誤嚥性肺炎は日本人の死因の7位で、大半は高齢者だと警鐘を鳴らす。

 嚥下障害の原因の一つが老化による筋力の低下だ。通常、食べ物は舌の上を通って喉に送られ、喉仏(咽頭)が上下動をして食道に導かれる。高齢者になると舌を動かす舌力と、喉仏が下垂して喉仏を上げる力が弱くなる。このため、のみ込む力が低下して嚥下障害を引き起こしやすくなるという。つまり舌を自在に動かしたり、喉仏を上下させる筋肉を鍛えたりすることが嚥下障害を予防する第一歩ということだ。

喉と舌の筋肉を鍛えよう

 喉の筋肉を鍛えるには頭部挙上訓練や嚥下おでこ体操、あごの押上げ訓練が、舌の筋トレには舌を口の天井に押し付ける訓練がそれぞれ効果的だ(図参照)。このほか、口を大きく開ける だけの開口訓練や、市販の器具(ぺこぱんだ)を舌と口の天井に挟む訓練も簡単にできるトレーニング法だ。また、筋肉を作るには、たんぱく質を含んだ食事を取る食トレも大切だ。

 福岡さんは「のみ込む力は手軽な訓練で保つことができる。大切なのは、無理をしない範囲で、それぞれの人に合ったトレーニングをコツコツと続けていくこと。元気なうちに生活に取り入れて」と訴える。

呼吸訓練も大切

 さらに、呼吸訓練をすることも誤嚥を予防する運動になる、という。カラオケは最適のトレーニングで、「歌うときには喉と舌を動かしながら呼吸をしており、無意識にのみ込む力と肺の機能を高めている」と福岡さん。肺の機能が丈夫であれば、たとえ誤嚥を起こしても反射的に咳払いで、気管に入った食べ物を吐き出すことができるからだ。

 誤嚥はシニアにとっては切実な悩みだろう。「喉も肺も加齢とともに衰えることを知った上で対処を」と福岡さん。ただ、日本ではまだまだ専門家が少ないことが現状だ。福岡さんは「なるべくリハビリテーション科があって言語聴覚士を抱える医療機関を受診するように」と呼びかける。


喉の老化をセルフチェックしよう

@30秒間で、何回、口にためた唾液をごっくんとのみ込めるかをチェック→

のみ込む回数が多いほど、喉年齢は若いが、3回以上のみ込めれば問題はない。2回以下だと誤嚥性肺炎を発症するリスクが高まることが、医学的に分かっている。

Aコップに100ミリリットルの水を入れ早く飲む→

むせることなく10秒以内に飲めれば問題はない。途中でむせた人は喉の老化が進行している可能性あり。

※舌の老化は舌の力を測る器具を備えた医療機関などでチェックしてみましょう


知っ得

唾液の誤嚥と胃酸の誤嚥

 誤嚥は食べ物や飲み物以外に唾液や胃酸でも引き起こす。細菌を多く含む唾液は、健康な人でも就寝時に気管に入りやすい。唾液だけで誤嚥性肺炎を発症するリスクもあり、就寝前と起床時には、歯磨きやうがいをするなど、口腔内をきれいにする習慣を心掛けたい。
 高齢者になると、胃酸を含んだ胃の内容物が食道内に逆流し、気管に入る胃食道逆流症になりやすい。ひんぱんに胸やけを起こすときは注意が必要だ。

水を飲むとむせる

 のみ込む際に、一番難しいのは水や汁物などのさらさらした液体。嚥下障害になると、速い速度で喉に入る水などは飲み込みにくくなる。水や汁物でむせるような症状が増えたときには、喉の衰えの最初のシグナルだ。

広島国際大・言語聴覚健康センター

 センターは大学内に開設。市民を対象に飲み込むことのチェックや口から食べる機能の相談・指導に応じている。相談は無料。詳細は総合リハビリテーション学部事務室0823(70)4851へ。


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