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2019/3/14

ジイジ・バアバ、パパ・ママへ贈る

心のめばえ アヤと過ごすジイジの日記 <31>

著者/牟田 泰三
挿絵/橋本 礼子

5歳7カ月 雨の日の太陽

 ある休日の朝、あいにくの雨である。ママのお仕事の都合で、アヤはバアバのところに預けられることになった。やって来たアヤはいきなり
アヤ 「バアバ、雨の日は太陽はどこに行ってしまったの?」
唐突な質問にバアバは虚を突かれて答えに窮している。困ったバアバはいつものように
バアバ「ジイジに聞いてごらん」
と、ジイジにたらい回しにしてきた。

ジイジ「お日様はね、いつものところにいるんだよ。今日は雨が降るくらい厚い雲があるから、お日様は見えないんだけど、雲の向こうにいるんだよ」
ジイジの説明があまりうまくないのか、アヤはどうも納得していないようだ。
アヤ 「夜は太陽はいなくなるって聞いたよ」
そういえば、だいぶ前に、アヤと二人で、山の端にかかる夕日を眺めながら
ジイジ「太陽は夜には地面の下に行っていて見えないんだよ。だから夜は暗いんだ」
と教えたことがあった。アヤとしては、そのことから考えて、雨の日に太陽が見えないのは、どこかに行っているせいだろうと考えたとしてもおかしくはない。太陽がどこにも行っていないことを、幼児でも分かるようにちゃんと説明してやるべきなのだ。
ジイジ「お日様は雲の向こうにいるんだよ。だから、お日様の光が雲を通してやってきてまわりが明るいんだよ。夜とは違うんだよ」

 納得してくれたかなあ。納得できなくてもいいんだ。納得できなかったら、自分で考えればいいのだから。
ジイジ「今度ね、晴れた日に雲が出てきて、お日様を隠すのを見てみようね」

ジイジの気付き 幼児と話をするとき、しゃがんで同じ目線で話をする。それと同じで、心の理論も幼児目線で適用すべきなのだ。


プロフィル むた・たいぞう

 1937年、福岡県生まれ。九州大学理学部卒業、東京大学大学院物理学専攻修了、理学博士。京都大学助手・助教授、広島大学教授・学長、福山大学学長などを歴任。主な著書に「語り継ぎたい湯川秀樹のことば」(丸善出版)、「電磁力学」(岩波書店)、「量子力学」(裳華房)などがある。東広島市在住。

連載中の「心のめばえ」シリーズは、牟田のホームページでも読むことができます。https://home.hiroshima-u.ac.jp/mutata/


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