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2019/2/7

ハラスメントにノー 

広島大ハラスメント相談室 横山教授に聞く

「昔は良かったのに」は通用しません。
 毅然とした態度で対応を。

 近年、メディアで盛んに取り上げられるように、ハラスメント被害が後を絶たない。広島大ハラスメント相談室の横山栄子教授(社会学)に話を聞きながら、ハラスメントについて考えてみた。(日川)

大人の世界のいじめ

広島大ハラスメント相談室
横山栄子教授

 ハラスメントとは、相手に対して行われる「嫌がらせ」のこと。その種類はさまざまだが、職場や団体での代表的なハラスメントがセクシャルハラスメント(セクハラ)とパワーハラスメント(パワハラ)だ。

 横山教授によると、「ハラスメントとは大人の世界のいじめ」で、相手よりも優位な地位や権力などを背景に、性的な嫌がらせを行うのがセクハラで、それ以外の人格や尊厳を傷つけるような嫌がらせがパワハラという。

無意識に相手を傷つける

 ハラスメントが厄介なのは、加害者が意識的にではなく、無意識に相手を傷つける行為を行っていることが多いことだ。昨年明るみに出た財務省の元事務次官のセクハラ発言は、その典型だろう。女性が拒否や反 論をしないと、相手は勝手に受け入れられたと思い、もっと行為がひどくなるという図式だ。

 子どものいじめでも、いじめられる側が抵抗をしないと、いじめが加速するように、「いじめとハラスメントの構図は一緒」と横山教授。「嫌だということを遠回しに分かってもらおうとしても相手を止めるのは難しい」と話す。

 さらに、ハラスメントの場合、被害者の感じ方次第では、ハラスメントが行われた、と判断されないことも問題だ。横山教授は、「相手に配慮してこそコミュニケーションは成り立つのであって、不快な言動は許されるべきではない。当事者の思いにかかわらず、性的な言動や人格を傷つける言動は暴力、という客観的な共通ルールを職場や団体で認識することが大事」と力を込める。

 近年は、元事務次官のセクハラ問題にしろ、スポー ツ界の一連のパワハラ問題にしろ、「ハラスメントに遭っても泣き寝入りしない人たちが出てきたことは一歩前進」と横山教授は言う。

「駄目」とはっきり伝える

 一方で、加害者側には、こんなことぐらいは大丈夫、という旧態依然とした意識がまだまだ残っている、という。横山教授は「セクハラでいえば、機会均等法にセクハラ規定が設けられて20年がたちます。昔は良かったのに、という言葉が通じる時代ではありません」と言い切る。

 では、ハラスメント被害を防ぐためにはどうすればいいのか。横山教授は「《それは駄目》と自分の意見を相手にはっきり伝えるスキルを身に付けることと、組織のトップが、ハラスメントを許さない毅然きぜんとした態度を示すことが大事」ときっぱり。「ここではできない」というような職場全体の環境づくりも大切だという。

 また、弁護士などの第三者に入ってもらったり、労働局などの社外窓口で相談したりするのも有効だ、と訴える。


パワハラの6類型
身体的な攻撃

□たたく、殴る、蹴るなどの暴行を受ける
□丸めたポスターで頭をたたかれる

精神的な攻撃

□同僚の前で叱られる
□他の職員を宛先に含めてメールで罵倒される
□必要以上に長時間にわたり、繰り返ししつこく叱られる

人間関係からの切り離し

□一人だけ別室に席を移される
□強制的に自宅待機を命じられる
□送別会に呼ばれない

過大な要求

□新人で仕事のやり方も分からないのに、他の人の仕事まで押し付け、同僚は皆先に帰ってしまった

過小な要求

□運転手なのに営業所の草むしりだけを命じられる
□事務職なのに倉庫業務だけを命じられる

個の侵害

□交際相手についてしつこく問われる
□妻に対する悪口を言われる

セクハラの2類型
環境型

□職場の目立つ場所にヌードポスターを掲示する
□従業員の性的な情報を意図的に流し本人に苦痛を与える
□職場で卑劣な話題を出すなど、不特定多数の人に不快感をもたらす

対価型

□特定の相手に性的関係を強要したが拒否されたため、降格させた
□付き合ってくれれば昇進させると持ちかけた

パワハラ、セクハラに当たりうる全てを網羅したものではなく、これら以外は問題ないということではない


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