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2019/1/17

ジイジ・バアバ、パパ・ママへ贈る

心のめばえ アヤと過ごすジイジの日記 <23>

著者/牟田 泰三
挿絵/橋本 礼子

4歳3カ月 時の流れ@

 幼児が時の流れに気が付くのはいつ頃だろうか。どういうきっかけで気付くのだろう。ジイジの観察では、時の流れを認識し始めるのは3歳頃ではないかと思われる。多分、最初に気が付くのは、過去があることではないだろうか。
「さっき食べたアイスクリームは美味しかったね」
とか、
「魚釣りをして楽しかったね」
とか、ちょっと前の過去の経験から、時間の経過を感じ取っているように見える。

 そのうち、もう少し遠い過去についても気が付いてくる。ブランコで遊んで一晩寝た翌朝、
「昨日のブランコは楽しかった」 というふうに。

 過去に比べると幼児にとって未来の認識はいささか難しい。直近の未来を感じるのは
「もうすぐお風呂に入るからね」
などという経験からであろう。そのうち、夜寝床に入って翌朝になるとまた1日が始まることに気付く。そこで、
「また明日の朝も幼稚園だね」
というようにもう少し先の未来が分かるようになる。

 先日、アヤと市立図書館に行った。例のごとくアヤの気に入ったバイキンの本があったのでその本を借りることにした。いつものようにアヤに図書館利用カードを持たせて手続きをさせる。カウンターのおねえさんが「返却日は9月27日です」と言う。これがちょっと理解できない。

アヤ 「ジイジどうしたらいいの」
ジイジ「9月27日というのは、明日のまた明日のそのまた明日の・・・もっと先のことだよ。借りた本はこの日までに返す約束なんだよ」
と言ってもどうもぴんときていないらしい。

 4歳になっても数週間先のことを実感するのは難しそうだ。未来を実感させるためには、カレンダーの仕組みを教えてやるのは有効な方法かも知れない。それによって、未来がずっと先まで続いていることに気が付くだろう。

 それから数日経って、アヤと図書館の話をしていたら、
「27日って、一番下にあるんだよね」 と言い出した。

〈次号に続く〉


プロフィル むた・たいぞう

 1937年、福岡県生まれ。九州大学理学部卒業、東京大学大学院物理学専攻修了、理学博士。京都大学助手・助教授、広島大学教授・学長、福山大学学長などを歴任。主な著書に「語り継ぎたい湯川秀樹のことば」(丸善出版)、「電磁力学」(岩波書店)、「量子力学」(裳華房)などがある。東広島市在住。

連載中の「心のめばえ」シリーズは、牟田のホームページでも読むことができます。https://home.hiroshima-u.ac.jp/mutata/


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