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2019/1/10

ジイジ・バアバ、パパ・ママへ贈る

心のめばえ アヤと過ごすジイジの日記 <22>

著者/牟田 泰三
挿絵/橋本 礼子

4歳11カ月 ダンゴムシ

 お庭にアリさんがいた。捉まえて手のひらにのせると、歩き回ってすぐ落ちそうになる。そこでアヤはつまんでまた手のひらに戻す。

ジイジ「あまり強くつまむとアリさんは潰れそうになるから優しくつまもうね」

それでも次々と繰り返している。

ジイジ「もうアリさんも疲れているからお庭に返してあげようね」

アヤ 「嫌だ」

ジイジ「もうお腹もすいているし、お家でママが待っているかも知れないよ。返してあげよう」

アヤ 「じゃあ、ダンゴムシにする」

やっとアリさんは逃がしてもらえてヤレヤレ。でも、

ジイジ「ダンゴムシはこのあたりにはいないよ」

アヤ 「いるよ。この植木鉢の木の根っこにいたのを見たよ」

植木鉢をくるりとまわすと、あっ、ほんとにいた。

アヤ 「ジイジ、こんなこと知らないの」

いつの間にこんなところでダンゴムシを見つけていたんだろう。だんだんと独自に観察をするようになっていくのだな。

アヤ 「ダンゴムシさん、あめ玉みたいに丸くなってるね」

ジイジ「敵に襲われると丸くなって身を守るんだよ。でも、そっとしておくと、そのうち様子を見て、安全だと思うと動き出すんだよ。ほら見てごらん、アヤの手のひらの上で長くなったでしょ」

手のひらから落ちそうになったのでアヤがつかもうとするとまた丸くなってしまった。

アヤ 「ダンゴムシは幼稚園にもいるよ」

ジイジ「そうだったの」

アヤ 「○○ちゃん(男の子)がね、ダンゴムシつぶした」

ジイジ「えっ、それはいけないね。ダンゴムシが痛い痛いって言うでしょ」

アヤ 「アヤは見ないようにしたの」

 アヤはダンゴムシをつかんだままお部屋に持ち込んだ。ダンゴムシを床に置くと、どんどん這い回って、隅っこに逃げ込みそう。

ジイジ「いいこと教えてあげようか。つるつるのおわんに入れるといいんだよ」

台所の戸棚から味噌汁などをつぐおわんを取り出してダンゴムシを入れると、ダンゴムシが這い出そうとしても、おわんの斜面で滑って這い出せない。これでダンゴムシをつまんで戻さなくてもよくなった。

ジイジ「でも、あまり長い間このままにしておくとダンゴムシさん、お腹をすかして死んでしまうかも知れないから帰してあげようね」


プロフィル むた・たいぞう

 1937年、福岡県生まれ。九州大学理学部卒業、東京大学大学院物理学専攻修了、理学博士。京都大学助手・助教授、広島大学教授・学長、福山大学学長などを歴任。主な著書に「語り継ぎたい湯川秀樹のことば」(丸善出版)、「電磁力学」(岩波書店)、「量子力学」(裳華房)などがある。東広島市在住。

連載中の「心のめばえ」シリーズは、牟田のホームページでも読むことができます。https://home.hiroshima-u.ac.jp/mutata/


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