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2018/5/24

待機児童対策 課題を分析 未来図は?

読者の声・疑問へ東広島市からのアンサー

記者の解説と読者の声で未来の東広島市を考える東広島未来予想図

 保育を希望しても入れない待機児童問題。東広島市では、都市化の進展で人口が増加する西条地区を中心に問題が深刻化している。今年4月1日現在の待機児童数は179人。急激な保育需要に、施設整備や保育士確保が追い付いていないのが実情だ。東広島市の現状と課題を分析。待機児童問題の未来予想図を描いた。(日川剛伸)


 西条町など、定員より利用者数が下回っているのに待機児童が発生している理由として、3歳までの低年齢児では定員に空きがない一方で、4〜5歳児では定員に空きが生じているような場合や、各年齢に定員の空きが生じていても、保育士が不足しているため受け入れができない場合がある。※待機児童179人のうち、174人が3歳児以下。内訳は0歳児12人、1歳児66人、2歳児49人、3歳児47人。

 別表のように、東広島市の待機児童は、約8割が市中心部の西条町に集中し、大半が保育士の手厚い配置が必要な3歳児以下だ。

 こうしたことから市では今年度、私立保育所の新築・増改築などの整備費を助成したり、私立保育所に就職した保育士には、応援金を支給する給付金制度を創設したりした。保育定員と保育士の確保にソフト、ハード両面で取り組む。

 ただ、施設整備の難しさは、待機児童の推移が読めないことだ。定員が増えれば、子どもを預けるのをあきらめていた親が、「私も預けて働きたい」と考えることが予想される。安倍政権が打ち出す幼児教育・保育の無償化も保育の需要を喚起する可能性がある。

 一方で、少子化などで、待機児童が今後数十年にわたって増え続けることは予想しがたく、「将来の人口減少局面を見据えると、過大な整備とならないよう配慮する必要もある」(市待機児童対策室)との見方もある。

 低年齢児の施設を整備すればするだけ、保育士は必要になるが、保育士の人手不足感は強い。背景の一つが給与で、民間の保育士の平均賃金は、全産業の平均よりも8万円ほど低い22万円だ。子どもの命を預かる責任の重さに比べると安いと言わざるを得ない。

 市では、以前から金銭的支援などの自助努力で保育士の確保に努めてきた。ただ、多くの自治体が金銭支援に取り組んでおり、保育士を確保するために、自治 体間で不毛な競争を招いているのも事実だ。市の財源には限界がある。保育士の確保には、国が一律に待遇改善を図ることが必要だ。

 市は国よりも1年早い2020年4月に、待機児童ゼロを目指すという。そのための処方箋をプレスネット的未来図として、まとめてみた。(別表参照)。

 東広島で待機児童が多いのは、市で子どもを育てたい、という保護者ニーズの裏返しでもある。「子育てをするなら東広島」を掲げ、若い世代を呼び込もうとする市では、待機児童問題の解決はまさに喫緊の課題だ。

 待機児童解消に向けて、市は今年度、全庁的な組織を設置した。外に目を向ければ、施設や保護者、企業との連携も不可欠となる。


記者と読者モニターが感じた未来予想図のポイント

待機児童を持つ親には

●定員割れの保育所も希望してみる(東広島はドアツードアの車社会。西条を起点にどの地域も30分圏内)

●祖父母に孫育てを依頼(働く親にとって、子育て経験のある祖父母は大きな頼りに。祖父母のサポートを受けられる親は支援を依頼してみる)

保育施設には

●環境の整備(保育士が長く働き続けることができたり、就職したいと思えたりするように労働環境の改善に努める)

●無認可保育所の信頼度を高める(保育の質が高まれば、保護者の信頼度もアップ。子どもを預ける選択肢が大幅に広がる)

企業には

●企業主導型保育所の整備(育児離職が防げ、企業のイメージアップにも。国や市の支援を活用)

●働き方改革の促進(時短勤務や在宅勤務などで子育て世代の負担軽減)

ママの本音 西条町に住む未就学児の保護者45人の声

アンケート概要
【対象】西条町に住む未就学児の保護者
【実施期間】4月2日〜10日
【回答者】45人

Q.「子どもが待機児童になるかもしれない」という不安はありますか。
Q.まだ、保育園や幼稚園に入っていない子どもさんがいる人にお聞きします。何歳から預けようと思っていますか。
Q.保育所、幼稚園を選ぶときに重要視する点は何ですか。当てはまる項目1つを選んでください。
Q.保育所、幼稚園以外で、近くに、託児をお願いできる人がいますか。
Q.市に、どのような待機児童対策を望みますか。

・新採用の保育士だけに手当をあげるのではなく、現在働いている保育士にも手当を。

・子育ての終わった潜在保育士に早朝延長土曜のみの保育をお願いし、若い保育士の負担を減らす。

・兄弟が同じ保育園に通えるようにしてほしい。

・解消はもちろんだけど、保育の質の低下がないようにしてほしい。

・第一次審査結果で落ちた場合、空き状況などの情報も大体でいいので通知してほしい。

待機児童対策 今年度の主な新規事業

●1・2歳児の受け入れを拡大する私立保育所の支援に1040万円を計上。

●私立保育所などに就職した保育士には、応援金として20万円を、その後3年継続して勤めた保育士には10万円を支給する給付金制度を創設。

●保育の受け皿確保として、民間業者が行う認可保育所等の施設整備を支援する(新築5、増改築1、大規模改修1)。

市担当者に「保護者の声」を届けました。

待機児童が発生している地域に、保育所を整備することはできないのですか

東広島市待機児童対策室
 待機児童は西条町を中心に発生しており、市では、同町への私立保育所等の整備を中心に助成等を行っています。しかしながら、施設の不足だけではなく保育士の不足や、同町への入所希望者が右肩上がりとなっていることから、結果として待機児童の解消に至っていない現状となっています。

そうなんですね。単純に施設を作ればいいだけの話ではないのですね
保育士が増えるよう、給与を上げるなどの対策はできないのですか

東広島市待機児童対策室
 市では、独自の施策として、私立保育所等に勤める常勤保育士を対象に職務奨励費(月額1万円)を支給しているほか、今年度から新たに私立保育所等に採用された保育士に、最大30万円の応援金を支給することとしています。今後も、保育士の待遇を向上できるよう継続的に検討を図っていきます。

働くお母さんにとって、病児保育はありがたい存在。もっと増えればいいと思いますが…

東広島市待機児童対策室
 市には、現在2カ所の病児保育施設があります。病児保育は、専用スペースの整備や看護師の配置が必須となるほか、保育士の配置基準も厳しいことなどから、設置が進んでいないのが現状です。病児保育の利用状況を踏まえ、今後のあり方について検討していきます。

企業主導型の保育所が増えるよう、取り組んでほしいですね

東広島市待機児童対策室
 企業主導型保育事業は、待機児童の解消や女性の就業率向上への効果が期待されています。一方、同保育事業は認可外保育施設であり、保育の質をどのように確保していくかということが課題になっています。市では、今後、同保育施設の設置等に対して支援するほか、保育士の研修機会の拡大など、保育の質向上に関しても積極的に支援を行っていきます。

一時保育が充実するよう望みます

東広島市待機児童対策室
 市内の保育所等では、現在、25施設で一時保育事業を行っておりますが、保育士の不足等により、十分に一時保育の受け入れができない場合もあるのが現状です。待機児童対策とともに、一時保育の充実のためにも、保育士の確保が急務であると考えています。


>>本紙4月19日号掲載 ママによる座談会「待機児童、ママの本音」


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