ザ・ウィークリープレスネット

 記事検索

2018/5/24

東広島の企業力〈2〉 株式会社オンド

高い技術力誇る自動車部品メーカー


▲本社と八本松工場(空撮)。昨年、八本松工場に本社機能を移転、社名もオンドと改めた

 創業70周年の節目の年となった昨年、社名を音戸工作所からオンドに変更。本社機能も呉市から、生産・開発拠点のある東広島市の八本松工場に集約した。日本の基幹産業の一役を担う自動車部品メーカーを目指し、新たな一歩を踏み出した。(日川剛伸)

デファレンシャルでものづくり日本大賞特別賞

ユニット製品の納入が強み

▲海外拠点の一つとなっているタイ工場

 創業は1947年。自動車部品などに使われるボルトやナットの製造が出発点だ。その後、62年に板金プレス加工を担当する八本松工場を新設。81年からは、常温環境で金属に圧力を加え、変形させながら成形を行う冷間鍛造で歯形の成形加工を行うようになり、高速加工ができるようになった。

 大きな転機になったのは、89年。技術本館が完成したことで製品の研究開発が可能になった。93年、製品の耐久性や性能などを測定できるダイナモベンチの導入で、製品開発から量産までの一貫体制が確立。実験棟の整備で、さまざまな実験設備が保有できるようになり、研究開発に拍車がかかった。

 現在は、カーブを曲がる際のスムーズな走行を補助するデファレンシャル(以下デフ)や、エンジンの振動を抑制するエンジンバランサーなど自動車のパワートレイン部品が売上高の約8割を占める。このほか、ボディーの部品やプレス部品なども生産する。マツダやアイシン・エイ・ダブリュといった自動車メーカーや、自動車部品メーカーが主な取引先だ。


▲構成部品の単体評価からユニット評価までできる実験設備(左がパワートレインテスター。右がバランサー試験機)

 他の部品メーカーにはない強みは、パーツ単体ではなく、複数が組み合わされたユニット(構成部品)で、製品を納入できることだ。

 2013年の「第5回ものづくり日本大賞」では、高強度と小型軽量化を実現したデフユニットを開発したことが評価され、特別賞を受賞した。その高い技術力は、マツダから大きな信頼を勝ち取り、デフユニットの全量をマツダに供給できる礎となった。

 栗栖哲成社長は「(受賞は)創業以来の製造技術の蓄積と、源流から製品の開発に取り組めるようになったことのお陰」と目を細める。

 17年5月期の売上は578億円。好調な市場動向を背景に10年目と比べると約2倍に増えた。新規の受注が増えてきたことから、昨年、八本松東工場となるシャープの第3工場(八本松町)の敷地を取得。生産設備を導入し、本社のある八本松工場と一体で生産する。国内では、八本松東工場や子会社を含めて製造拠点は7カ所になり、部品需要の増加に対応していく。


▲オンドが生産している左からデファレンシャルASSY、エンジンバランサーASSY、プラネタリーASSY。※ASSYはユニットであるアッセンブリ―の略

 一方で、海外にはタイと中国に製造拠点がある。マツダは、23年度の世界販売台数を現在より2割多い200万台とする目標を掲げる。特に生産面は海外を中心に増やしていく計画だ。栗栖社長は「マツダさんが海外でトランスミッション(変速機)を組み立てているのはタイだけ。今後、タイ工場の果たす役割は、大きくなる」と話す。

 これらのことを視野に入れ、22年の売上は、現在の4割増となる約1000億円前後を見込む。栗栖社長は「ユニット供給できる強みを伸ばしながら、常に新しい商品開発に取り組んでいく。自動車業界でデフといえば、オンドと言ってもらえるようなオンリーワンの会社を目指していきたい」と力を込める。


求めるのはポジティブな人材

女性の働きやすい職場に

 新しい時代を見据え、新卒者の採用はもちろん、中途採用にも積極的に取り組む。社員の採用と並行して、女性の職場環境の改善にも意欲的だ。社員数は、2017年12月現在で1438人(非正規含む)。グループを合わせると2000人を超える。栗栖哲成社長に、採用条件や会社のカラーなど就活のヒントになることについて話を聞いた。


▲「前向きな気持ちを持った人材を求めている」と話す栗栖社長
 ―オンドが求める人材は。

 新卒者は、自分で物事を考え、自分でチャレンジできるような、常に〈自分発〉のポジティブな気持ちを持った若者です。そのような思いを持っていれば、国籍は問いません。実際に留学生も採用しています。海外業務の増加で、英語が得意な人は歓迎しますが、必ずしも採用条件ではありません。

 中途者も求めるのは前向きな人材です。給与面では、経験を加味しながら、同じ世代の社員と近くなるよう配慮しています。

 ―女性が働きやすい環境になるよう、2016年に行動計画を策定されました。

 一般的には、現場の作業は重労働と思われがちですが、そんなことはありません。オンドが扱う商品は小型で、持ち運び作業などは機械化も進んでいます。むしろ、機械のメンテナンスや、製品の目視検査などは、きめの細かい女性の方が優れている面もあります。

 ただ、全従業員に占める女性社員の割合は、まだ1割に至りません。女性の働きやすい環境を整えていくのは喫緊の課題だと認識しています。現在、育児休業制度や、育休後の短時間勤務などを取り入れていますが、計画は緒に就いたばかり。これから、企業内保育所の整備など、具体的な目標を定めていきたい、と思っています。

 ―会社のカラーは。

 仕事のプロセスや時間管理がきちんとしていることから、質実剛健的な会社かな(笑)。社員教育や、福利厚生がしっかりしているのも特徴です。

 ―昨年、東広島市に本社を移転しました。

 東広島市内の事業所では従業員数はトップテン内に入るでしょうね。これから稼働する工場(八本松東工場)と合わせ市内の2工場では、700人前後が勤めることになります。

 東広島での存在価値は高い会社であることを、全社員で共有し、東広島市と一緒に成長できる会社に、と思っています。


沿革

1947年 安芸郡音戸町(現呉市)に音戸工作所創立
1962年 東広島市八本松町に八本松工場新設
1981年 冷間鍛造で歯形成形加工を実施
1990年 関連会社サンテック設立
2001年 株式の譲渡でマツダ精機をヒラタ精機に社名変更し、関連会社とする
2012年 中国江蘇省に工場を設立(13年稼働)
2013年 タイ・ラヨーン県に工場を設立(14年稼働)
2017年 オンドに社名変更、本社移転。東邦工業と合併


pagetop