今こそ原発ゼロへの転換を 東広島ユネスコ協会創立40周年事業で小泉元首相が講演

基金設立。被ばく元米兵支援

「日本のために尽くしてくれた兵士を見て見ぬふりはできない」

 東広島ユネスコ協会の創立40周年を記念した講演会が4月1日、東広島市鏡山の広島大サタケメモリアルホールで開かれた。講師は元首相の小泉純一郎氏。小泉氏は「日本の歩むべき道」と題して講演。集まった約1000人の聴衆を前に、「福島の原発事故を教訓に、自然エネルギーへの転換を」などと訴えた。小泉氏の講演要旨を紹介する。


▲「今こそ原発ゼロへの転換を」と訴える小泉元首相

 東日本大震災の原発事故に伴う放射能排出で被ばくした元米軍兵士を支援する「トモダチ作戦被害者支援基金」を昨年、設立しました。日系人ジャーナリストのエィミー・ツジモトさんから、米軍兵士の悲惨な被ばく状況を知らされ、渡米したのがきっかけになりました。

 約2万人の米軍兵士は、大震災の際に、トモダチ作戦の一環として、津波に流された人たちの救出活動を行いました。ところが兵士には、原発事故による放射性物質の大量放出は知らされていなかったのです。

米兵の思いに報いたい

 帰国した兵士は、さまざまな症状に苦しむようになります。病の源は、作戦中に、高濃度の放射性ブルーム(雲)の直撃を受けたことにありました。が、その事実はあまり知られていません。兵士らは福島第一原発事故で被ばくしたとして、東京電力などに損害賠償を求めて提訴。現在、米国と日本のどちらで裁判を行うかで係争中です。

 昨年末現在で8人の兵士が命を落とし、400人もの若者が深刻な状況に置かれています。私は、ツジモトさんから、彼らの現状を聞き、昨年5月渡米、10人の元兵士と面会しました。彼らは、日常生活にも支障をきたすほどでしたが、一様に《日本が大好きだから、精一杯救援活動を行った》と語ってくれました。私は、純粋な気持ちで日本人を救おうとした彼らの気持ちに、心を動かされました。

 「日本のために尽くしてくれた人たちを見て見ぬふりはできない」。自問自答しました。彼らは健康保険の適用がないため、十分な治療を受けられません。医療費の足しになればと、基金を立ち上げました。ことし3月末までに1億円の基金を目標にしましたが、目標を大幅に上回る2億8000万円を集めることができました。心ある日本人の行動に感謝と感激の気持ちでいっぱいです。

 私は、現職総理時代、原発推進論者でした。1979年のスリーマイル島の原発事故後も、86年のチェルノブイル原発事故後も、日本の原子力発電所には多重防護の核納容器があり、万が一のときも放射能が漏れることはない、と言われ続けてきました。私も専門家の言葉だから、と信じてきました。ところが、《3・11》の現実を目の当たりにし、安全神話に疑問を抱くようになりました。それから原発のことについて勉強を重ねました。勉強を重ねれば重ねるほど、自分の過ちに気付き、「原発ゼロ」が日本の歩むべき道だと確信しました。

ピンチをチャンスに

 日本は、これまで幾度となく、ピンチをチャンスに変えてきました。戦後は、米国を味方につけて、戦前よりも国力を身に付けました。石油ショック後も、為替制度が固定相場から変動相場に移行したときも、きちんと変化に対応して乗り切ってきました。

 いま、日本で稼働している原発は3基です。震災後、まったく稼働していない時期もありました。ただ、原発が稼働しなくなったからといって、これまで停電になったことや、電力不足になったことはありません。日本は変化への対応力を持ち、太陽光や風力、水力などで十分賄えることを証明したのです。政府が、原発ゼロと決めれば、自然エネルギーで賄える体制ができるのです。

 私の発言によって、これまで、革新系議員しか言えなかった原発ゼロを、保守系議員も言えるようになってきました。ただ、原発をゼロにしても、使用済み核燃料をどうするのかという問題が残ります。私の発言をきっかけに、これらの問題の議論が深まることを期待しています。

ザ・ウィークリー・プレスネット 2017/4/6

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